『中耳加圧療法とは?』
2025年6月23日
メニエール病の治療方法は、生活習慣の改善と薬物療法による保存的治療(対症療法)が中心でした。しかし、薬物療法ではあまり効果がない難治性の場合は、中耳加圧療法という選択肢があります。中耳加圧療法とはどのような治療なのでしょうか?
メニエール病の治療方法
メニエール病は、内耳のむくみ(内リンパが過剰に溜まった状態)による内リンパ水腫が病態として考えられています。明確な原因はまだわかっていませんが、ストレスや過労、睡眠不足、運動不足などが影響するといわれています。
メニエール病の治療は、内服薬による薬物療法やストレスの解消、運動などの保存的治療が中心です。保存的治療では効果が見込めないようであれば、内リンパ嚢開放術などの外科的治療が選択されることもあります。
しかし、2018年に中耳加圧療法が認可されたため、現在は病状がある程度進行したメニエール病に対して中耳加圧療法を選択することができるようになりました。中耳加圧療法とは、圧力に強弱をつけながら空気を耳の奥へと送りこみ、内耳に溜まっているリンパ液を押し出す治療方法です。重症度ステージ4以上の難治性の症例が対象となります。
非侵襲的中耳加圧療法
中耳加圧療法を行う指針として、まずはメニエール病であることが確実であり、保存的治療を行ってもめまい発作を繰り返し、聴力が悪化するなど病状が進行し、日常生活に支障をきたしていることが挙げられます。メニエール病診療ガイドラインの重症度分類に基づき、総合的重症度ステージ4に該当する場合に治療適応があります。
治療は、クリニックがメーカーからレンタルした中耳加圧機器を患者さんに貸し出し、1日2回、3分程度自宅で施行するという方法です。めまい日誌に症状の程度などを毎日記載し、月1回診療を受ける必要があります。他の疾患で入院するなど、毎月受診ができない場合は、治療を中止しないといけないこともあるため、注意が必要です。治療にかかる期間は12カ月というのが基本ですが、症状によっては36ヶ月まで継続するケースもあります。
当院は、難治性メニエール病の中耳加圧療法ができる体制を整えていますので、お気軽にご相談ください。受診してすぐに治療を開始できるというものではないため、他院からの引継ぎとして治療を希望する場合には、紹介状があると便利です。
まとめ
メニエール病になったときの治療方法は、基本的には薬物療法やストレスの解消、運動などの保存的治療です。
2018年から中耳加圧療法が認可され、重症度ステージ4の進行したメニエール病の治療選択肢が増えました。
他にも様々な条件があるため、繰り返すめまい発作や難聴等でお悩みの患者さんは耳鼻咽喉科で詳しく診察を受けることをお勧めします。
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