『耳鼻咽喉科での鼻血の処置について』
2024年6月28日
鼻血が出た場合、基本的には10分ほど鼻を圧迫することで止血が可能です。しかし、鼻を圧迫しても出血部分によっては止血できないこともあります。止血できない場合は耳鼻咽喉科を受診しますが、どのような処置を行うのでしょうか?圧迫しても止血できない部分と耳鼻咽喉科での鼻血の処置について、解説します。
圧迫しても出血できない部分
鼻血の約9割は、鼻の入り口から約1cmにあり、細い血管が集まっているキーゼルバッハ部位を傷つけたことによる出血です。この部位からの出血であれば、鼻を圧迫することで止血できることが多いため、急いで耳鼻咽喉科を受診しなくてもよいでしょう。
しかし、鼻血の原因が、蝶口蓋動脈や前篩骨動脈などの太いが傷ついたことによるものである場合には、注意が必要です。鼻を圧迫しても止血が難しく、動脈からの出血で量もかなり多いため、速やかに耳鼻咽喉科を受診してください。
自力で止血することは難しいですが、耳鼻咽喉科へ向かう途中も鼻の圧迫を続けると、鼻血の勢いが弱まる可能性があります。口の中へ入ってきた鼻血を飲み込むと吐気や嘔吐の原因になるので、飲み込まずに吐き出しましょう。
また、止血のためにティッシュペーパーなどを鼻の穴に詰めることは避けたほうがいいでしょう。止血できるイメージがありますが、奥に入って取り出せなくなる、粘膜をさらに傷つけるといったリスクがあるため、おすすめしません。
耳鼻咽喉科での処置
耳鼻咽喉科を受診したら、どのような処置を行い止血するのでしょうか?
鼻血がどこから出ているかを確認した後、麻酔液をつけたガーゼを鼻に入れて約10分鼻を圧迫します。その後に、薬品で出血部位を止血するか、電気焼灼のどちらかの方法で処置を行います。
電気焼灼とは、電気メスで出血部分を軽く焼くことで、止血する方法です。電気焼灼という言葉から痛みがあるのかと不安になりますが、その前に麻酔薬をつけたガーゼを鼻に入れて局所麻酔をしているため、処置中に痛みはほとんどありません。
処置後に、鼻をかんだりいじったりすると再出血の恐れがあります。また、長時間の入浴は体温が上がり血行がよくなるため、避けましょう。次の日も出血するときや、止血処置を受けたが30分以上鼻血が止まらない場合には、受診してください。
まとめ
鼻血のほとんどは、キーゼルバッハ部位が傷ついたことが原因の出血です。したがって、鼻を圧迫すれば基本的に応急的な止血ができます。しかし、蝶口蓋動脈や前篩骨動脈が傷ついて鼻血が出ている場合は、圧迫しても止血はできません。出血の量が多く、なかなか止まらない場合には、速やかに耳鼻咽喉科を受診してください。
江上耳鼻咽喉科では、麻酔液をつけたガーゼを鼻に入れて局所麻酔を行い、薬品で出血部位を止血するか、電気焼灼のどちらかの方法で処置を行います。
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